私達は食事によって様々な栄養素を摂取していますが、それぞれの栄養素が身体に及ぼす影響は違うため、バランスの良い食生活を心がけることがとても大切です。
バランスの良い食生活を心がけることでカロリーの過不足を防ぐほか、食材単体よりも効能が強くなったり、吸収率が上がったりする場合もあります。
今回は食事について着目し、より効率の良く、そして美味しく栄養を摂取できるものをご紹介します。
1)ビタミンとミネラルの種類
・代謝や免疫に需要なビタミン
ビタミンは2種類に分類され、水に溶け出す水溶性ビタミンと、油脂に溶け出す脂溶性ビタミンがあります。
水溶性ビタミンであるビタミンB群は、三大栄養素の代謝には欠かせず、補酵素として重要な働きを持ちます。また、皮膚の健康を保つビタミンCも水溶性ビタミンです。三大栄養素とは、糖質、たんぱく質、脂質の事で、主に体をつくったりエネルギー源になったりする栄養素のことを指します。脂溶性ビタミンは4種類あり、目や粘膜を守るビタミンA、血流を促すビタミンE、血液を健康に保つビタミンK、骨を丈夫に保つビタミンDがあります。これらがバランスよく体内で支え合い、働くことで健康が保たれます。
・生命の維持に欠かせないミネラル
ミネラルは、ビタミンと同様にエネルギーを生み出しませんが、身体をつくる重要な働きを担っていることから、三大栄養素にミネラルとビタミンを加えて五大栄養素と呼ばれています。
骨や歯の維持に欠かせないカルシウム、血をつくる鉄分、エネルギー代謝に関わるリン、ホルモンや細胞の生成に必要な亜鉛など、根本的な身体の構成を支えています。
サプリメント等で摂りすぎない限り、過剰に摂取する心配はありませんが、偏食や極端な食事制限を続けてしまうと不足し身体の不調をもたらす心配があります。
・食卓に豊かな彩りを
普段の食生活で、彩りは意識されていますか?
野菜の緑や黄色、お肉や魚の赤、海藻類や胡麻などの黒など、食品に含まれる色には鉄分や様々なフィトケミカルという機能性成分が含まれています。
フィトケミカルは主に抗酸化作用に働き、ストレスの低減や肌のくすみ、しわなどを予防する効果があります。また、粘膜を守ったり体内の殺菌作用もあったりと、免疫力を高める為にも重要です。
食材による色を活かし、カラフルにすることでビタミンやミネラル、フィトケミカルも摂取でき、視覚による食事の満足度も高め、ダイエット効果にもなります。
2)特に意識したいビタミンとミネラル
・ビタミンB群
ビタミンB郡は、三大栄養素の代謝や神経機能の維持に働く為、不足すると疲労感や鬱、貧血症状を引き起こす恐れがあります。
ビタミンB1は、炭水化物に含まれる糖質の代謝に欠かせません。食材では主に豚肉や玄米、全粒小麦などの全粒穀物に多く含まれます。
ビタミンB6は、たんぱく質に含まれるアミノ酸の代謝や脂質の代謝に関与しています。赤身の魚介類や緑黄色野菜、ナッツ類にも含まれています。
ビタミンB12は、ビタミンB6と同様にアミノ酸や脂質の代謝に必要であり、また血液成分である赤血球の産生にも関与しています。
動物性食品の肉や魚に多く、特にレバーに含まれます。
・鉄分について
鉄分の約60〜70%は血液に、4%程筋肉に存在し、残りは貯蔵鉄として肝臓や脾臓や骨髄に貯蔵されます。
血液中に含まれるヘモグロビンを構成し、ヘモグロビンによって全身に酸素を運搬する役割があります。人の全身の血管を繋げると、約地球二周半分になると言われる程長く、常に体内を循環しています。鉄分は、激しい運動の衝撃により赤血球が破壊され不足し、鉄欠乏性貧血を引き起こす恐れがあります。
鉄分を多く含む赤身肉やレバー、貝類、大豆製品から意識的に摂取し、血液中のヘモグロビンを増やすことで酸素の運搬効率が上がり、結果的に持久力やスタミナの向上に繋がります。
・カルシウムについて
体内のカルシウムは約99%が骨と歯に存在します。不足すると骨が脆くなる骨粗しょう症を引き起こす可能性があります。
カルシウムはホルモンの分泌や筋肉の収縮などの生理機能にも関与している為、運動のパフォーマンス向上にも繋がります。
食品では乳製品や小魚、干しエビ、モロヘイヤ、小松菜、大豆製品などに多く含まれます。
3)おすすめしたい食べ合わせの例
・ネギ類と豚肉
豚肉に含まれるビタミンB1と、ネギ類の野菜に含まれる硫化アリルといった硫黄化合物の相乗効果によって、摂取した糖質の代謝を高めたり、疲労回復の効果が高くなったりします。
エネルギーとして使用されずに血液中に残ってしまった糖質のブドウ糖は、肥満細胞に取り込まれ中性脂肪の蓄積に繋がりやすくなることから、糖質制限ダイエットが流行しましたが、糖質は重要なエネルギー源のため、極端に減らす事で低血糖による立ちくらみや倦怠感を引き起こす可能性があります。食事では豚キムチや玄米を使用した炒飯などを取り入れ、健康的にスタミナをアップしていきましょう!
・タンパク質と非ヘム鉄
鉄分には動物性食品に含まれるヘム鉄と、
植物性食品に含まれる非ヘム鉄の二種類があります。ヘム鉄の吸収率が約30%に比べ、非ヘム鉄の吸収率は約7%と低い研究結果があります。しかし非ヘム鉄とタンパク質を組み合わせる事で、非ヘム鉄の吸収率を上げる事で効率よく体内で利用することができます。また、鉄分とビタミンCを含む野菜や果物も、吸収率アップに適した組み合わせです。
・ビタミンDとカルシウム
カルシウムには神経伝達を助け、イライラする気持ちを鎮めてくれる役割もあります。骨には血をつくる働きもある為、積極的に取り入れたいミネラルです。上記で紹介したカルシウムを多く含む食品に加えて、脂溶性ビタミンのビタミンDを取り入れる事でカルシウムの吸収率がアップします。ビタミンDはキクラゲや鮭などに含まれていますが、人が日光に当たる事によって体内で合成できるビタミンです。
4)注意すべき食べ合わせ
・タンニンと鉄
タンニンとはフィトケミカルのポリフェノールで、お茶やコーヒー、赤ワインの渋味成分で、タンニン単体では殺菌作用や下痢止めの作用があります。しかし鉄分を含む食品と摂取すると体内でタンニンと鉄が結合し、タンニン鉄として吸収されなくなってしまいます。
貧血気味の時はなるべく渋い飲み物を控えたり、食事ではお茶よりもお水を選んだりすることで吸収の阻害を抑制する事ができます。
・カリウムとアルコール
カリウムを多く含むキュウリやアボカドは、体内のナトリウム調節に働き、利尿作用やむくみの解消効果があります。
それと同時に、アルコールにも利尿作用がある為、カリウムとアルコールの組み合わせは脱水症状に注意が必要です。利尿作用によって水分が不足すると、アルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドが体内に増えすぎてしまい、二日酔いの原因にもなってしまいます。また、アルコールの代謝には肝臓で水を必要不可欠とするため、こまめな水分補給が重要になります。
・不溶性食物繊維と不溶性食物繊維
不溶性食物繊維は、便の嵩を増やし、大腸を刺激することで便秘の予防、改善に働きます。
不溶性食物繊維を豊富に含むさつまいもや大豆、ふすまなどを一度に摂取すると、かえって腸内への刺激が強く、お腹の張りや弛緩性便秘を引き起こす事があります。食物繊維は不溶性食物繊維と、水溶性食物繊維を含む海藻類やネバネバ成分を含むオクラなどのバランスを2:1程で取り入れる事が大切です。
まとめ
いかがでしたか?
普段の食事や外食時のメニューで、どんな食品から料理が作られているのか栄養成分から考えてみると、理にかなった組み合わせが多かったり、実は吸収を阻害してしまう組み合わせになっていたりします。
食べ合わせを徹底的にする必要はありませんが、ご自身の体調に合わせて食品の組み合わせを変えてみると、不調の低減や免疫力の向上により毎日がアクティブになります!日々、様々な食材を取り入れ彩りや効能も意識しながら、食事を楽しんでみてください。
【参考文献】
食べ合わせの天国と地獄
からだにおいしいキッチン栄養学
あたらしい栄養学
栄養素図鑑と食べ方テク
【料理】
BurnesStyle SAYA
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